LEDチカチカ(非RTOS)

構成

LPC1769には、基板上に最初からLEDがついています。
なので、これを点滅させてみましょう。

LPC1769のピンアサインについては、インストールされた中にある、Getting StartedのPDFを見てください。
後半の方(P31〜P33あたり)のページに、LPC1769のピンアサインが載っています。

LEDの記載を見ると、P0[22]と書いてあるのがわかります。
これは、ポート0の22番ピンということになります。

LEDピンアサイン

このピンの出力を、周期的に変化させてやれば、LEDチカチカが実現できることになります。

プロジェクト

まずは、新規プロジェクトを作りましょう。
QuickStartPanelのNew projectから、LPC176Xの「C Project」を選択して、適当なプロジェクト名をつけます。
ここでは、「ledtest01」としました。

MCUはLPC1769を選び、CMSIS Library to link project toは、CMSISv2p00_LPC17XXが選択されていることを確認してください。
Code Read Protectについては、コードを読み出されないようにするためのセキュリティ設定ですので、ここは外しておいて構いません。

LEDプロジェクト設定

プロジェクトが作成されたら、右クリックからプロパティを開きます。
「Project References」は、CMSISv2p00_LPC17xxと、DriverLibの両方にチェックを入れておきましょう。
これで、変数や関数の定義を、プロジェクトをまたいで遡ることが出来ます。

プロジェクト参照

次に、「C/C++ General」の「Paths and Symbols」を開いて、includeとライブラリの設定をします。

まず、IncludesタブのLanguagesがGNU Cのところを選択すると、既に/CMSISv2p00_LPC17xx/incの設定が入っているかと思います。
ここに、/DriverLib/incも追加します。

Includeパス設定

次にLibrariesタブの設定ですが、ここもすでに、CMSISv2p00_LPC17xxの設定が入っていると思います。
同様に、DriverLibを追加します。
ここは、「DriverLib」と記載するだけにしておいて下さい。

ライブラリ設定

最後に、Libraries Pathsの設定も同様にします。

ライブラリパス設定

ここまでで、プロジェクトの設定は終わりですので、反映させて一旦ビルドをかけてみましょう。
QuickStartPanelからBuildを実行して、ledtest01.axfが出来上がればOKです。

「Project References」で指定した、CMSISv2p00_LPC17xxと、DriverLibのそれぞれのインクリメンタルビルドが行われてから、ledtest01のビルドが行われます。

ソースコード

以下、ソースコード。
まず、最初から作られているmain.cをベースに、以下のincludeを追加します。

// TODO: insert other include files here
#include "lpc17xx_pinsel.h"
#include "lpc17xx_gpio.h"

次に、指定時間waitするためのカウンタをグローバル変数として用意し、そのカウンタをインクリメントする割り込み関数、実際のwaitを行う関数をそれぞれ用意します。

// TODO: insert other definitions and declarations here
volatile uint32_t msTicks = 0;
void SysTick_Handler(void) {
	msTicks++;
}
void systick_delay (uint32_t delayTicks) {
  uint32_t currentTicks = msTicks;
  while ((msTicks - currentTicks) < delayTicks);
}

そして、メイン関数は以下のようになります。

int main(void) {
	// TODO: insert code here
	PINSEL_CFG_Type pincfg;	// ピン設定構造体
	uint32_t state = 0;

	// LED初期化
	pincfg.Funcnum = PINSEL_FUNC_0;
	pincfg.OpenDrain = PINSEL_PINMODE_NORMAL;
	pincfg.Pinmode = PINSEL_PINMODE_PULLUP;
	pincfg.Portnum = PINSEL_PORT_0;
	pincfg.Pinnum = PINSEL_PIN_22;
	PINSEL_ConfigPin(&pincfg);
	GPIO_SetDir(PINSEL_PORT_0, (1 << PINSEL_PIN_22), 1 );
	GPIO_SetValue(PINSEL_PORT_0, (1 << PINSEL_PIN_22));

	SysTick_Config(SystemCoreClock / 1000);

	while (1) {
		systick_delay(500);
		state = GPIO_ReadValue(PINSEL_PORT_0);
		GPIO_ClearValue(PINSEL_PORT_0, state & (1 << PINSEL_PIN_22));
		GPIO_SetValue(PINSEL_PORT_0, ~state & (1 << PINSEL_PIN_22));
	}
	return 0;
}

ソースコード解説

まず、メイン関数の先頭からですが、LEDを使用するために、LEDがつながっているポート0の22番ピンの設定をします。
ピンの設定用構造体PINSEL_CFG_Typeは以下のようになっており、これに必要な値を設定してPINSEL_ConfigPinをコールすることにより、そのピンが使えるようになります。
(デフォルト値のままであればそのまま使えますが、一応……)

typedef struct
{
	uint8_t Portnum;	/**< Port Number, should be PINSEL_PORT_x,
				where x should be in range from 0 to 4 */
	uint8_t Pinnum;		/**< Pin Number, should be PINSEL_PIN_x,
				where x should be in range from 0 to 31 */
	uint8_t Funcnum;	/**< Function Number, should be PINSEL_FUNC_x,
				where x should be in range from 0 to 3 */
	uint8_t Pinmode;	/**< Pin Mode, should be:
				- PINSEL_PINMODE_PULLUP: Internal pull-up resistor
				- PINSEL_PINMODE_TRISTATE: Tri-state
				- PINSEL_PINMODE_PULLDOWN: Internal pull-down resistor */
	uint8_t OpenDrain;	/**< OpenDrain mode, should be:
				- PINSEL_PINMODE_NORMAL: Pin is in the normal (not open drain) mode
				- PINSEL_PINMODE_OPENDRAIN: Pin is in the open drain mode */
} PINSEL_CFG_Type;

PINSELやGPIOの定義は、DriverLibの中にあるヘッダの定義です。
これらは、解凍したペリフェラルドライバライブラリの中にある、「LPC1700 Peripheral Driver Library Manual.chm」に、どのような命令があってどのような値が設定できるのか、詳しく載っていますので、DriverLibの中身を使う際にはこれを見て下さい。

どのような設定をすればいいかは、ユーザーマニュアルを見て確認します。

ユーザーマニュアルはNXP社のHPから検索してダウンロードできます。
LPC17xx User manualを落として下さい。

落としたら、「Chapter 8: LPC17xx Pin connect block」を開きます。
「Table 74」を見ると、今回使用するP0[22]は「Table 80」に記載があるようなので、そこを見ます。

Table 74

「Table 80」を見ると、P0[22]は、Function00(0)の時はGPIO(汎用的なI/Oピン)として、Function01(1)の時はRTS1、Function11(3)の時はTD1として動作するように書かれています。

Table 80

この、RTS1やTD1というのは何かというのは、「Table 73. Pin description」に記載があり、RTS1はUART1という機能のTD1はCAN1という機能の出力ピンとして使えるというのがわかります。

Table 73

今回は、GPIOとしてこのピンを使いますので、機能は0番を指定する必要があり、PINSEL_CFG_TypeのFuncnumにはPINSEL_FUNC_0(0)を設定します。
PINSEL_CFG_TypeのOpenDrainは、オープンドレインにはしないので、PINSEL_PINMODE_NORMAL(0)を設定します。
PINSEL_CFG_TypeのPinmodeは、内蔵プルアップのままにするので、PINSEL_PINMODE_PULLUP(0)を設定します。
さらに、PortnumはPINSEL_PORT_0で、PinnumがPINSEL_PIN_22なのはいいですね。
詳細については、ユーザーマニュアルの同じ所に載っていますので、確認してみて下さい。

最後に、この構造体を指定してPINSEL_ConfigPinを呼べば、これでP0[22]のピンを使用する準備は整いました。


次に、そのピンに対して、実際に操作を行います。

GPIO_SetDirは、指定したポートの、立てたビットのピンの入出力を設定します。
PINSEL_PORT_0の、PINSEL_PIN_22ビットのピンを、出力(1)用に設定します。

これでH/Lを出力できるようになったので、まずはLEDをON状態に初期化します。
GPIOの命令は、GPIO_SetValueで指定したピンをHighに、GPIO_ClearValueで指定したピンをLowにします。
一つの命令でH/Lを設定するわけではないので、注意が必要です。

ユーザーマニュアルの「Chapter 9: LPC17xx General Purpose Input/Output (GPIO)」を読むと理解が深まると思いますが、GPIOのレジスタには、SETレジスタとCLRレジスタがあり、これをラッパーしているのが前述の命令ということになります。

SETとCLR

まずはON状態で初期化するので、GPIO_SetValueにPINSEL_PORT_0の、PINSEL_PIN_22ビットのピンを指定すれば、この時点でLEDが点灯します。


次に、SysTick_Configで、1msの割り込みを発生させます。
これは、DriverLibのSYSTICK_InternalInitを使用してもいいはずですが、これはCMSISライブラリの方の命令です。

SysTick_Configは、引数に指定したクロックで割り込みを発生させます。
ここでは、システムコアクロックを1000で割った値を入れているので、1ms毎に割り込みが発生することになります。

引数にmsを指定すればいいSYSTICK_InternalInitよりわかりにくいですが、こちらを選んだのには理由がありますので、後述します。

SysTick_Configは、System Tick Timerの割り込みを発生させますが、この割り込み時に実行される関数は、今回のledtest01プロジェクトを作成した時に自動的に生成されている、cr_startup_lpc176x.c内に書かれています。
この中に、g_pfnVectorsという割り込み関数テーブルがあり、割り込み発生時にはこのテーブルを参照してSysTick_Handlerが呼ばれますが、実体はWEAKつきで宣言されており、無限ループで何もしないようになっています。

今回、同名のSysTick_Handlerという関数を作った事により、WEAK付きの元々の関数は無視され、新たに作成した関数がSystem Tick Timerの割り込みでコールされるようになります。


さて、後は、無限ループの中身ですが、最初は1msの割り込みカウンタが引数の500回を超えるまでwaitするサブ関数です。
500ms待って、LEDをトグルさせ、1秒周期の点滅にします。

waitが終わったら、その時のポート0の状態を読み出し、ローカル変数に保存しています。

次に、22番ピンがHighであればLowにするため、22番ピンの元の状態を指定してGPIO_ClearValueを呼びます。
元の状態がLowであれば、GPIO_ClearValueには0が指定されるので、状態としては何も変わらないことになります。

さらに、22番ピンがLowであればHighにするため、22番ピンの元の状態を反転させたものを指定してGPIO_SetValueを呼びます。
元の状態がHighであれば、GPIO_SetValueには0が指定されるので、状態としては何も変わらないことになります。

実行・デバッグ

ソースが出来て、ビルドが通ったら、いよいよ実行です。
LPC1769と一体になっている、LPC-LinkとPCをUSBで繋いで、QuickStartPanelのDebugを押します。

デバッグ

初回は、ドライバのインストールなどがあり、時間がかかるかもしれません。
待つかキャンセルかを聞かれるダイアログが表示されることもあるようです。
また、USBを接続しなおしたりした場合にも、エミュレータ選択ダイアログが表示されることがありますので、その場合は接続しなおして再検索をするといいようです。

無事に実行できると、自動的にmain関数の先頭でbreakがかかります。
Step Over(F6)でステップ実行を行い、最初のGPIO_SetValueでLEDが点灯することが確認できると思います。

Resume(F8)を押せば、LEDが点滅します。
Suspendで、その時実行している箇所で停止します。
Terminate(Ctrl+F2)でデバッガは停止し、マイコン自体はそのまま動作します。

お手軽にIDEでデバッグ出来るのは楽でいいですね。

クロックの設定


トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS