LCD文字表示(RTOS)

MAPLE board

頑張ってハンダ付けしましょうw
そんなに大変な作業ではないです。
まぁ、私はフリー拡張スロットのコネクタのハンダ付け、一部失敗して斜めについてますけどね……。

LCDモジュール

MAPLE boardについてきたのは、TC1602E-25Aという型番のLCDでした。
このLCDは、4または8ビットモード(HD44780互換)ということですから、HD44780のデータシートを探してくることにします。

というわけで、alldatasheetから拾って来ました。

基本的には、AVRの時にやったLCDサンプルと変わりません。

構成

MAPLE board附属の回路図を見れば分かる通り、DB0〜DB3は接続されていませんので、4ビットモードでの動作となります。
また、R/WがGNDに接続されていますので、Writeモード固定ということになります。
Writeモード固定なので、Busyフラグチェックは出来ませんから、コマンド実行後は実行時間分待つ必要があります。

LPC1769は、LPC1768と同じなので、MAPLE boardの取扱説明書「8.3 LPCXPresso LPC1768 使用時」というところのピン配置を見ると、どのピンが何に割当たっているのかわかります。
以下のようになっているみたいですね。

ポート番号ピン番号LCD
P015D5
P016D6
P017D4
P21RS
P22E
P23D7

プロジェクト

まずは、ledtest02と同じように、FreeRTOSの新規プロジェクトを作って、ひと通り設定をしておきます。
プロジェクト名は、「lcdtest」としました。

元々のLEDと今回のLCD、それに全体的な管理をするアプリケーションとしてのタスクを作って動かすようにしてみましょう。
それぞれをモジュールとして管理し、モジュールを管理するためのデータをハンドル的に扱えるようにします。
データをハンドル化し、ロジックと切り離すことによって、LEDが2つとか、LCDが2つとかになった場合でも、それぞれを独立して動かせるようになるはずです。

今回の最終的なsrcフォルダ以下の構成は、以下のようになります。
アプリケーションモジュール、LCDモジュール、LEDモジュールをフォルダごとに分け、それぞれに外部公開ヘッダ、内部用ヘッダ、ソースファイルがあります。

プロジェクトフォルダ構成

ソースコード

共通定義等

LEDのソースにもありましたが、ピンをGPIOとして使うのでも、ペリフェラルの機能を使うのでも、ポート番号とピン番号の指定が必要になります。
なので、セットで扱えるような構造体を用意しておきます。
共通で使うので、src直下に置いておきましょう。
ファイル名はapldevice.hとしました。

#ifndef APLDEVICE_H_
#define APLDEVICE_H_

// ポートピンセット
typedef struct _tagPORTPIN_SET{
	uint8_t	port_num;	// ポート番号
	uint8_t pin_num;	// ピン番号
} PORTPIN_SET, *LPPORTPIN_SET;

#endif /* APLDEVICE_H_ */

次に、各タスクのプライオリティ定義を用意しておきましょう。
タスク間の関係は、アプリケーション全体で相互に意識しなければならないので、これもsrc直下に置いて共通で使います。
ファイル名はapltask.hとし、これをincludeすればFreeRTOSのタスク機能が使えるように、FreeRTOS.hとtask.hを参照します。

#ifndef APLTASK_H_
#define APLTASK_H_

#include "FreeRTOS.h"
#include "task.h"

#define APL_TASK_PRIORITY		( tskIDLE_PRIORITY + 1 )
#define LED_TASK_PRIORITY		( tskIDLE_PRIORITY + 2 )
#define LCD_TASK_PRIORITY		( tskIDLE_PRIORITY + 2 )

#define APL_STACK_SIZE	64
#define LED_STACK_SIZE	64
#define LCD_STACK_SIZE	64

void TaskDelay( portTickType time );

#endif /* APLTASK_H_ */

タスクプライオリティの関係は、アプリケーションとしての動作をアイドルの一つ上に、表示系をその一つ上としました。
スタックサイズも、全体のリソース管理という意味から、一箇所にまとまっていた方がいいと思うので、一緒に記載しています。

また、LEDサンプルの時に使ったvTaskDelayのラッパーとして、TaskDelayという関数を定義しておきます。
TaskDelayの実体は、apltask.cファイルをsrc直下に作って、以下のように作っておきます。

#include "apltask.h"

void TaskDelay( portTickType time )
{
	vTaskDelay( time / portTICK_RATE_MS );
}

vTaskDelayは、引数がtick数であり、msではありません。
前回書きましたが、FreeRTOSConfig.h内のconfigTICK_RATE_HZで、毎秒1000tickという指定をしているので、たまたま1tickが1msと同義になっているだけにすぎません。
configTICK_RATE_HZの値を書き換えてしまうと、ms単位の動作を期待しているのに、実際にsleepする時間が変化してしまいます。
このため、msを指定できるラッパー関数を用意して、それに対応します。

参考までに、portTICK_RATE_MSは、FreeRTOS内で以下のように定義されています。

#define portTICK_RATE_MS			( ( portTickType ) 1000 / configTICK_RATE_HZ )		

タスクの次は、イベントキューを使うための定義を用意します。
イベントキューは、LCDに表示するためのデータをLCDタスクに送信するために使います。
ファイル名はaplqueue.hとし、これをincludeすればFreeRTOSのキュー機能が使えるように、FreeRTOS.hとqueue.hを参照します。
こちらも、キュー全体のリソース管理という意味から、src直下に置いて共通で使います。

#ifndef APLQUEUE_H_
#define APLQUEUE_H_

#include "FreeRTOS.h"
#include "queue.h"

// イベントキューデータ
typedef struct _tagQUE_DATA{
	uint8_t	evcode;	// イベント番号
	int32_t	param;	// パラメータ
	void	*data;	// イベントデータ
} QUE_DATA, *LPQUE_DATA;

#define LCD_QUE_LENGTH	32

#endif /* APLQUEUE_H_ */

キューのデータは汎用的にQUE_DATAとして定義し、これを送受信します。
タスクで受け取って動作を切り分けるためのイベントコード、そのパラメータ、パラメータでは足りないデータを送りたい時に、それをぶら下げるためのポインタを定義しておきます。

そして、LCDのキューとしては、QUE_DATAを32個分までためられるものとします。
LCDの表示領域は、16文字*2行の最大32文字なので、一つのQUE_DATAに1文字をぶら下げたら最大サイズを食うことになりますが、まとめて書きたい時は文字列として一つのQUE_DATAで送ればいいですし、LCDタスクが処理しきる前にこのキューを食いつぶすような送り方をすることは、よほどないでしょう。


メイン

まず先に、main.cの中身を書いてしまいます。

#ifdef __USE_CMSIS
#include "LPC17xx.h"
#endif

#include <cr_section_macros.h>
#include <NXP/crp.h>

// Variable to store CRP value in. Will be placed automatically
// by the linker when "Enable Code Read Protect" selected.
// See crp.h header for more information
__CRP const unsigned int CRP_WORD = CRP_NO_CRP;

// TODO: insert other include files here
#include "led/led.h"
#include "lcd/lcd.h"
#include "apl/apl.h"

static LED_DATA	led_data;
static LCD_DATA	lcd_data;
static APL_DATA	apl_data;

int main(void) {
	// TODO: insert code here
	PORTPIN_SET	portpinset;

	// 管理データ初期化
	LED_InitHandle( &led_data );
	LCD_InitHandle( &lcd_data );
	APL_InitHandle( &apl_data );

	// LEDポートピン設定
	portpinset.port_num	= PINSEL_PORT_0;
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_22;
	LED_Setting( &led_data, &portpinset );

	// LCDポートピン設定
	portpinset.port_num	= PINSEL_PORT_0;
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_17;
	LCD_Setting( &lcd_data, LCD_PORTPIN_TYPE_DATA4, &portpinset );
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_15;
	LCD_Setting( &lcd_data, LCD_PORTPIN_TYPE_DATA5, &portpinset );
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_16;
	LCD_Setting( &lcd_data, LCD_PORTPIN_TYPE_DATA6, &portpinset );
	portpinset.port_num	= PINSEL_PORT_2;
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_1;
	LCD_Setting( &lcd_data, LCD_PORTPIN_TYPE_RS, &portpinset );
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_2;
	LCD_Setting( &lcd_data, LCD_PORTPIN_TYPE_E, &portpinset );
	portpinset.pin_num	= PINSEL_PIN_3;
	LCD_Setting( &lcd_data, LCD_PORTPIN_TYPE_DATA7, &portpinset );

	// モジュール初期化
	LED_Init( &led_data, LED_ONOFF_ON );
	LCD_Init( &lcd_data );
	APL_Init( &apl_data );

	// ハンドル設定
	APL_SetLCDHandle( &apl_data, &lcd_data );

	// タスク生成
	LED_Start( &led_data, ( int8_t* )"LED" );
	LCD_Start( &lcd_data, ( int8_t* )"LCD" );
	APL_Start( &apl_data, ( int8_t* )"APL" );

	// スケジューラ実行
	vTaskStartScheduler();

	return 0;
}

LEDモジュール

次に、LEDモジュールです。
まずは、外部ヘッダのled.h。

#ifndef LED_H_
#define LED_H_

// include定義
#include "lpc17xx_pinsel.h"
#include "apldevice.h"
#include "apltask.h"

// LEDモジュールデータ
typedef struct _tagLED_DATA{
	xTaskHandle	htask;		// タスクハンドル
	PORTPIN_SET	portpin;	// ポートピンセット
} LED_DATA, *LPLED_DATA;

typedef enum _tagLED_ONOFF_MODE{
	LED_ONOFF_OFF,
	LED_ONOFF_ON
} LED_ONOFF_MODE;

// LEDハンドル初期化
int LED_InitHandle( LPLED_DATA handle );

// LEDハード設定
int LED_Setting( LPLED_DATA handle, LPPORTPIN_SET lpportpin );

// LEDモジュール初期化
int LED_Init( LPLED_DATA handle, LED_ONOFF_MODE onoff );

// LEDタスクスタート
int LED_Start( LPLED_DATA handle, const int8_t* const name );

#endif /* LED_H_ */

次に、内部用ヘッダのledin.h。

#ifndef LEDIN_H_
#define LEDIN_H_

// LEDタスク
void led_task( void *param );

#endif /* LEDIN_H_ */

最後に、LEDモジュール本体の、led.cです。

// include定義
#include "lpc17xx_pinsel.h"
#include "lpc17xx_gpio.h"
#include "led.h"
#include "ledin.h"

// LEDハンドル初期化
int LED_InitHandle( LPLED_DATA handle )
{
	if( NULL == handle ){
		return -1;
	}
	handle->portpin.port_num	= PINSEL_PORT_0;
	handle->portpin.pin_num		= PINSEL_PIN_0;
	handle->htask				= NULL;
	return 0;
}

// LEDハード設定
int LED_Setting( LPLED_DATA handle, LPPORTPIN_SET lpportpin )
{
	if( NULL == handle || NULL == lpportpin ){
		return -1;
	}
	handle->portpin = *lpportpin;
	return 0;
}

// LEDモジュール初期化
int LED_Init( LPLED_DATA handle, LED_ONOFF_MODE onoff )
{
	PINSEL_CFG_Type	pincfg;	// ピン設定構造体

	if( NULL == handle ){
		return -1;
	}
	if( NULL != handle->htask ){
		return -1;
	}

	// LED初期化
	pincfg.Funcnum		= PINSEL_FUNC_0;
	pincfg.OpenDrain	= PINSEL_PINMODE_NORMAL;
	pincfg.Pinmode		= PINSEL_PINMODE_PULLUP;
	pincfg.Portnum		= handle->portpin.port_num;
	pincfg.Pinnum		= handle->portpin.pin_num;
	PINSEL_ConfigPin( &pincfg );
	GPIO_SetDir( handle->portpin.port_num, ( 1 << handle->portpin.pin_num ), 1 );
	if( LED_ONOFF_OFF == onoff ){	// OFFで初期化
		GPIO_ClearValue( handle->portpin.port_num, ( 1 << handle->portpin.pin_num ));
	} else {						// ONで初期化
		GPIO_SetValue( handle->portpin.port_num, ( 1 << handle->portpin.pin_num ));
	}
	return 0;
}

// LEDタスクスタート
int LED_Start( LPLED_DATA handle, const int8_t* const name )
{
	if( NULL == handle ){
		return -1;
	}
	if( NULL != handle->htask ){
		return -1;
	}
	// タスク生成
	if( pdTRUE != xTaskCreate( led_task, name, LED_STACK_SIZE, handle, LED_TASK_PRIORITY, &handle->htask )){
		return -1;
	}
	return 0;
}

// LEDタスク
void led_task( void *param ){
	LPLED_DATA	handle	= ( LPLED_DATA )param;
	uint32_t	state	= 0;
//	unsigned portBASE_TYPE freesize = 0;

	while (1) {
		vTaskDelay(500);
		state = GPIO_ReadValue( handle->portpin.port_num );
		GPIO_ClearValue( handle->portpin.port_num, state & (1 << handle->portpin.pin_num));
		GPIO_SetValue( handle->portpin.port_num, ~state & (1 << handle->portpin.pin_num));
//		freesize = uxTaskGetStackHighWaterMark(NULL);
	}
}


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